【書評】鬼才!マルコム・グラッドウェルの最新作『トーキング・トゥ・ストレンジャー』

こんにちは、レゾナンスリーディング、
渡邊康弘です。

本日の一冊は、世界のベストセラー作家、
マルコム・グラッドウェルの最新作『トーキング・トゥ・ストレンジャー』です。

マルコム・グラッドウェルMalcolm Gladwell
『第1感』『天才! 』『逆転! 』『犬は何を見たのか』『急に売れ始めるにはワケがある』などの国際的ベストセラーがあるノンフィクション作家・ジャーナリスト。イギリスに生まれ、カナダ・オンタリオ州で育つ。トロント大学卒業。ワシントン・ポスト紙のビジネスと科学分野の記者、同紙ニューヨーク支局長を経て、1996年よりニューヨーカー誌のスタッフライターを務める。タイム誌の「もっとも影響力のある100人」にも選出されるなど、圧倒的な人気と評価を得ている。ポッドキャストのRevisionist Historyのホストも務める。 訳者 濱野大道 はまの・ひろみち 翻訳家。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)、同大学院修了。訳書にジェームズ・ブラッドワース『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』、プリート・バララ『正義の行方』、リチャード・ロイド・パリー『津波の霊たち』、レビツキー&ジブラット『民主主義の死に方』など多数。

本書よりマルコム・グラッドウェルの本は、もう15年以上読み続けていて、大好きな作家のひとりです。

ただ、最近の海外の評価というのは、きわめて、厳しいのではないかと感じています。
そのきっかけは、『天才!』で紹介した、「1万時間の法則」。
マルコム・グラッドウェルによって、有名なった「1万時間の法則」はかなり怪しいと言われ、その引用元でもある、アンダース・エリクソンの研究では、「1万時間」というものを描いてなく、むしろ、量よりも質を描いているのですよね。

『「週4時間」だけ働く。』のティム・フェリスも「1万時間の法則」を否定。

私もできる限り、原典、参考文献を読んで、ブラッシュアップしていますが、やはり、この汚点が、マルコム・グラッドウェルのキャリアを傷つけ、これまでの実績を低くしてしまっているのも事実のようです。

そのマルコム・グラッドウェルの新刊、『トーキング・トゥ・ストレンジャーズ』。

今回のテーマは、「よく知らない人と話すこと」について。すべては、ちょっとした違反で警官に車を止められた女性は、なぜ逮捕され、数日後に留置所で自殺することになったのか?

ここからはじまる。このひとつの事件を、マルコム・グラッドウェルが、あの手この手で分析をしていく。それはひとつのノンフィクションのミステリー小説を読んでいるような感覚。ひとつの読み物としては面白いもの。

この事件はなぜ、起こったのか?

有名アメフトコーチによる少年たちへの性的虐待が長年発覚しなかったのはなぜか。
誰もがある女性を殺人犯に違いないと思い込んだのはなぜか――。
悲劇はすべて、人は初期状態、デフォルトで他人を信用してしまうという性質、

そして、人の感情や考えは顔や態度を見ればわかるという根本的な間違いに起因しているのではないか?

という結論に至る。

私たちが、思っている以上に、知らない人を理解するのは難しい。
私たちは、よく知らない相手とどう話をすればいいのかを知らない。
では、その相手との関係がうまくいかないときにどうするのか?

そう、よく知らない相手のせいにする。

マルコム・グラッドウェルの新刊、ミステリー小説のような一冊。

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